砂時計が止まる日
彼女はきっと自分がそう言わなくても僕が送ろうとしていることに気付いてる。
それでも自分から言うことであくまで自分のワガママに付き合わせていることにしているんだ。
新垣は車椅子をゆっくり動かして昇降口まで行く。
ローファーに履き替えてゆっくり進む。
校門から出てからは僕は車椅子を押した。
「いつもと見る景色と同じなのに違うね。」
僕の前で周りを見回す彼女は楽しそうで寂しそう。
普段の2倍3倍の時間をかけて駅に辿り着いた。
病院の最寄り駅からはすぐで僕は新垣を病室まで送った。
「ありがと。楽しかった。
今日、もしかしたら人生で1番幸せだったかもしれない。」
彼女は病室のベッドに横になる。
「またここ、来てね。」
「言われなくても。すぐ来るから。」
僕はそっと病室の扉を閉めた。
それから僕は2日に1回のペースで病院に足を運んでいた。