砂時計が止まる日
そして今日、クリスマスイヴ。
午前中、僕は百貨店に行って新垣にクリスマスプレゼントを買って行った。
「ねえ、死んでもいいってこと!?」
病室に入ろうとすると荒木の大きな声が聞こえた。
「別にそうは言ってない!
でも自分の体のことは自分が一番よくわかるって言うけどその通りで。
私の中の何かが削り取られていく音が聞こえる。
もう長くないって体が言ってるの。
なぜかわからないけど、死ぬのは怖くないんだ。」
新垣の聞いているこっちが涙が出てきそうな哀しみにあふれた声が聞こえてくる。
「やっぱ、それって死んでもいいってことでしょう!?」
「死にたくないよ!
まだまだ生きてたいの!
高校も卒業して成人式出て、就職して!
大好きな人と結婚して子供が出来て...
手も顔もシワシワになるまで生きてたいの!」
新垣のその言葉に僕の目から1粒の涙がこぼれ落ちた。
「うん、由羅の口から生きたいって言葉が聞けただけで私はいいよ。」
そう言った荒木の足音が近付いてきたので僕は慌てて物陰に隠れた。