砂時計が止まる日
「新垣会長、どうかした?」
伸び気味な前髪を邪魔そうにする彼に私は手を横に振る。
「その呼び方、やめてよ。新垣にしといて。
今学期に入って同輩にまで会長って呼ばれるようになって、ようやく慣れたんだから流石に新垣会長はムリ。
白川君ぐらい新垣って呼んでよ。」
私がそう言うと彼は少し笑って机に体重をかける。
「それでどうしたの?わざわざこんな所に。」
「学院長は今日出張なはずなのに鍵はかかってないしドアも開いてる。
生徒が入ってるとしたらまずいなって思って。」
私がそう言うと彼は納得したように頷いた。
「手間かけたね。
今朝出張に出た学院長から本を探して欲しいって頼まれて。」
「別に大丈夫。白川君ならここにいても問題ないし。」
私がそう言うと彼は手に持っていたタブレットを机に置いた。
「時間ある?」
「うん、もう仕事も終わったしあとは帰るだけ。」
私の言葉に白川君は笑顔になった。