砂時計が止まる日
《役員の5人。本当にありがとう。
私はみんなのことが大好きです。
私のたくさんの無茶ぶりに答えてくれる役員は5人しかいないと思います。
みんなと一緒に仕事が出来て良かった。
これからもずっと学校をみんなの手でより良い学校にしてください。
応援しています。
私から生徒会会長の後任には会計荒木さんを推薦します。
私がいない学校をどうか、よろしくね。
みなさんのこれからが幸せであることをいのっています。》
菊池君は声を震わせながらも最後まで読みきった。
きっと、この内容を荒木にも伝えられていなかったのだろう、壇上にいるにも関わらず、ぼろぼろと涙を流していた。
きっと新垣は荒木に前を向いてほしかったのだろう。
自分のいない世界で空いた自分の席を荒木に埋めさせて自分がいない、ということをわからせたかったのだろう。
新垣、あなたのいない世界はどこか色が足りないんだ。
きっとこの学校の人たちからしたら、そんなに世界は変わらない、でも僕や生徒会役員にとってあなたは、とても大きい存在でした。
僕はずっと、新垣の家へ彼女に会いにいくことから逃げていた。
何度も、新垣の家へは足を運んだ。
でも、怖かった。
入ればきっと新垣の遺影が飾ってある。祭壇がある。
そんなの考えただけで苦しくて...ずっと
逃げていた。