砂時計が止まる日


「柿崎君、時間少ないし昼食取りなが
ら説明聞く方がいいかも。」



私は数の確認が終わる頃、委員にそう言った。
すると彼は時計を仰ぎ見る。



「そうだね。ありがとう、会長。助かった。」



私は手を横に振って元いた所に戻った。
私の数えた女子用の浴衣の小物を段ボールにしまう。

私が一息つくと廊下で一夏が中の様子を見ていた。
私と目が合うと私を手招きする。



「はい、これ。さっき届いたって。」

「相変わらず派手なこと。
まあ、仕方ないか。」



一夏から真っ赤な法被を受け取る。

毎年、デザインは新しくなるのだが、生徒会役員はこの真っ赤な法被を着るのが伝統。



一夏と別れ、私が教室に戻ると委員からの説明が始まっていた。

私も弁当箱を持ってきてふたを開けた。



「以上です。各自、把握して行動してください。」



全員が食べ終えた頃、説明が終わった。
運び出し開始の10分前。ベストだ。

残り時間で机を運び出す準備をする。

私は生徒会室にいなければならないので、私を机を託して教室を出た。



クラスメイトに寄せ書きをしてもらった真っ赤な法被を羽織る。

縦に大きく書かれた“会長”の文字。
頑張れ、という言葉を背負ってこの5日間を走り抜ける。

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