砂時計が止まる日
僕の置いた箱のテープを切っている新垣を見た。
邪魔そうにまくったカーディガンの袖から見えた細い腕。
普段はずっと長袖を着ていて気付かなかったが、よく見ると体のあらゆる部位において全てが細かった。
「いくつ持ってく?」
「2つお願いします。」
僕が答えると箱から2つの養生テープを出して手渡した。
僕はそれを受け取って生徒会室を出た。
黒のタスキで上げた赤い法被が映える白い肌。
袖で隠された細い腕は気に留めるには十分だった。
学校では生徒会長、家庭では働く母に代わり家事をして、時には食費の稼ぎ手。
そんな生活をしていると痩せてしまうのは仕方がないのかもしれない。
僕はあまり気にしないようにしてもやはり気掛かりだ。
どうしてだろう、ただの同輩でしかないのに。
どうしてこんなに気にしてしまうのだろう。
「はあ。」
1つため息をついて教室に戻った。
窓の外を見る彼女の横顔を思い出しながら。