砂時計が止まる日
私は映像を作り終えて時計を仰ぎ見ると一夏が生徒に対応するシフトの時間が迫っていた。
私は机の上のメモに一夏へのメッセージを書いて切り離す。
私がメモを渡すと一夏は立ち上がる。
“あ・り・が・と・う”
一夏の口がそう動いた。
私はペットボトルの紅茶を飲み干して立ち上がり、ホワイトボードのペンを握った。
口の中に冷めて甘くなった紅茶の味が微かに残っている。
後夜祭動画、現段階では完成しました。
スライドショー用の写真を撮ってきます。
新垣
私は脱いでいた赤の法被を羽織り、襷をした。
タブレットを手に持って生徒会室を出る。
各クラスや部活を回って写真を撮る。
どこの団体も楽しそうでこっそり撮ったものもしっかり撮ったものも、全て笑顔だった。