砂時計が止まる日
「...どこのクラスも歓迎してくれるからたくさん撮れて助かるな。」
私はそんな独り言を呟きながら生徒会室のドアを開けた。
私のクラスに行った時には霧吹きで水をかけられて大変だった。
部屋に入ると濡れた私を見た一夏がどこからかタオルを持ってきて髪を乱雑に拭く。
「そんなにしなくても大丈夫だって。」
「もしも、のことがあるかもしれないでしょ。
あんたは自分を大事にしなさい。」
映像を作り終えてもうすっかりいつもの調子に戻った菊池君が私の撮ってきた写真を見ていた。
「これ、会長でしょ。」
「あ、これ。」
それはうちのクラスで撮ったものに紛れていた。
私が霧吹きの水からタブレットを守るためにクラスメイトに預けた時のものだろう。
霧吹きを持って私を追いかけるクラスメイトたちとそれから逃げる私。
なんか、青春っぽい。
その写真を見て、そんなことを思った。
一夏に無理矢理脱がされた赤が濃くなった法被を眺める。
これだけはしゃいだのは久しぶりだ。
私はボサボサになった髪を手で梳かした。