砂時計が止まる日


翌日、今年の文化祭が始まる。

私はクラスのシフトと生徒会のツアー企画のシフトでほとんど終わってしまう。

結局、今年も文化祭を100%満喫せずに終わりそうだ。



それでもいい、私が少し努力すれば全校生徒と来校者が楽しめるのならそれでいい。

私はお礼がしたい。



開祭式も終えて私達は開場を待つ。

生徒会室でお互いの襷を締め直してそれぞれのクラスにむかった。



「はあ。」



思わずため息をつく。

誰かのために努力することは嫌ではないし自分で望んだことだが、今日は本当に自由時間がない。

あっても30分だけ。
昼食がとれたらいい方だ。



左を見ると派手な法被が項垂れている。
窓に写ったその姿を見て私は背筋を正した。



クラスは完成していて、私は安心した。



最初のシフトの子が浴衣に腕を通していた。
楽しげな会話に笑みを零しながらドアを閉めた。



荷物置きの教室に行って私は鏡で自分の顔を確認した。

少し崩れかかったメイクを手直しして教室に戻った。



生徒会長として周りから憧れられる存在でありたい。
私は締めていた第一ボタンをあけてリボンを緩めた。

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