砂時計が止まる日


「由羅!」



私が食品ブースを眺めているとそう声をかけられ振り向いた。

そこにはクラスTシャツを来た一夏が宣伝のボードを持ってこっちを見ていた。



「お疲れ、今午前中の終わったとこ?」

「うん、そう。
後輩ちゃんの粋な心遣いで少し早くフリーになったの。

あ、一夏のとこポップコーンだっけ?」



一夏が持っているボードにはポップコーンの絵が描かれていた。



「そ、食べてく?」



少し考えたが、一夏の楽しそうな表情を見ると答えはすぐに出た。



「そうしよっかな。甘いもの食べたかったし。
本当は3の2とこ行こうと思ってたんだけど。」



「あぁ、タピオカでしょ?
流行りものだからむっちゃ売れてるから午前中のはすぐに売り切れたよ。

でも、12時半に午後の分売り始めるらしいから買いたいならそこを狙うのがいいと思うけど、今日は無理か。」



そう、12時半はもう午後のシフトの時間だ。



「諦めてポップコーン買いま〜す。」

「まいど!」



私は一夏の楽しそうな声を聞きながら列に並んだ。

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