砂時計が止まる日
「新垣?」
私が列の最前で来て机の上のメニューを見ているとそう声をかけられた。
「白川君...シフトだったんだ。」
そこにはクラスTシャツにエプロン姿の白川君がいた。
「そ、ハニー余ってるけど、それでいい?」
「え、なんでそれ知ってるの?」
ハニー、は私が前にアミューズメントパークで食べて感動した味。
それ以来大好きでそれであるといつもその味にしている。
「あぁ、荒木に聞いたんだ。
“由羅はいっつもはちみつ味のばっか食べるの”って。
ハニー1つ。
会長のだから少しサービスしてあげて。」
彼はまるでいたずらっ子のように楽しそうに奥の子に言った。
「サービスなんていいのに。」
私は机の上の小銭受けに350円を置いた。
「全然、別件だけど。
新垣って明日時間ある?」
「えっ?」
その言葉に思わず顔を上げると、彼は当たり前の顔をしながら小銭を受け取っていた。
「時間、あるなら一緒に回らない?」
「えっ?」
私の口からもう一度同じ言葉が繰り返された。