砂時計が止まる日


「いやなら別にいいんだけど。」

「ううん!そんなことない!
誘ってもらえるなんて思ったもなかったから。」



彼はふっと柔らかく笑った。
その笑顔があまりにも綺麗で思わず見とれてしまいそうだった。



「いつ、空いてる?」

「12時まではずっとクラスのシフトがあるけどそれ以降は何もない...かな。」



私は肩がけのポシェットにお財布をしまった。



「じゃあ、その時間にそっちの教室行くね。」

「うん...」



私は彼に明日のことを念押しされながらカップから溢れそうなほど入れられたポップコーンを受け取った。



彼が私のことを誘ってくれたのはなぜかはわからない。

複雑な家庭事情に置かれる私に同情しているのか、私と仲良くしたいと思ってくれているのか、その他か...



わからないけど私自身は少しふわふわと浮いた気持ちを覚えた。

そう、口の中いっぱいに広がるハニーポップコーンとよく似ている。

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