砂時計が止まる日


少し校舎内を回りながらB棟の生徒会室に向かっていた。
どこも人が集まっていてうちのクラスも大盛況。



この文化祭で誰かが笑顔になってくれれば、幸せだと思ってくれれば。

私はそれで十分。



途中、菊池君が先導する校内ツアー一行とすれ違った。
誰もが興味津々に彼の話を聞いていた。

そう、こうやってこの高校の輪が広がっていけば、この高校を目指したいと思う人が増えれば嬉しい。



「会長、会長にしては遅かったですね。」

「うん、心遣いを無駄にするのは嫌だったから。」



生徒会室の前にたどり着くと受付の後輩が少し珍しそうに私を見た。

普段は10分前行動がデフォルトの私、でも今はシフトの3分前。



彼のちょっとした心遣いを無駄にするほど私は悪い奴ではないし、その心遣いが嬉しかった。



「ポップコーンとか、食べるんですね。」

「意外でしょ?みんなに言われる。

普段ならおすそ分けするところだけど今はちょっとあげたくないかも。」



私は手元のまだ食べ切っていないポップコーンを白川君を思い出しながら見た。



「じゃあ、私入るね。」



私はいつもより少し軽やかな気持ちで裏方に入った。

< 43 / 200 >

この作品をシェア

pagetop