砂時計が止まる日


それから約3時間、タブレットで写真を撮りながら回る私に彼は嫌な顔ひとつせずに一緒に回ってくれた。



もう文化祭もあと10分で終わる。

私は今日までで撮った写真を生徒会室のコンピューターに送った。
あとはスライドショーにする写真を菊池君が選んでくれる。



「ね、白川君っ。
本当にありがとう、誘ってくれて嬉しかった。」



私が彼の目を見て笑うと彼は今日一番の笑顔を見せてくれた。



「ようやく僕の目見て笑ってくれた。」



彼はそっと私の頭に手を置いた。



「え?」

「ずっと、“疲れてます”って顔してこっち見て笑ってくれなかったから。
僕、新垣の笑顔好きだからちゃんと目見て笑ってほしかった。」



言われてみればそうかもしれない。

笑っても白川君の方は向いていなかったし、目が合えば思わず逸らしてしまっていた。



「やっぱ白川君にはかなわないや。」

「僕は新垣にはかなわないよ。」



彼がそう言って笑うから、私も思わず笑った。

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