砂時計が止まる日
やがて動画はスライドショーに変わっていった。
「えっ。」
《いいでしょ。
次とか最高だよ、撮ってくれた後輩にも感謝だよね。》
菊池君の楽しそうな言葉のあとに思わず口を開けた。
私のタブレットで撮られたあの私が霧吹きから逃げている写真の後、私と白川君がタブレットを2人で見ている写真だ。
これは多分、あの写真を送った時のだろう。
「な、なんでこれ使うのよ!」
撮られたことも使われたことも不覚。
「あのさ!なんで使うの!こんなの!」
《だって会長があまりにも楽しそうな顔してたから。
会長が目指してた“幸せな文化祭”にぴったりな写真でしょ?》
私が菊池君にマイク越しで文句を言っている間に次の写真へとスクリーンは変わっていく。
「それとは違うでしょ!文化祭っていう感じ微塵もないし!」
《文句は聞き入れられません。》
その後、私が何度呼びかけてもヘッドホンから菊池君の返答はこなかった。
「顔熱っ...」
手の甲で触れた頬は驚くほど熱かった。
翌日の片付け日もトラブルなくおわった。
私の生徒会長としての文化祭は無事...かはわからないが、終わりを迎えた。