砂時計が止まる日
いつもより急ぎ足で歩いたはずなのにホームにたどり着いた瞬間、電車のドアが閉まった。
「やっぱり不幸なのかな。」
私の呟きは電車の動く音に掻き消された。
明日、2人はどうしようか。
なんて考えながら気まぐれでホームの自販機で買った紅茶を開ける。
きっと疲れた顔をしていたのだろう。
心菜に心配されてしまった。
類には申し訳ないけれど晩ご飯は類のあまり好きではないカレーにしてましまった。
類にも私の疲れが見て取れたのか文句一つ言わずに食べる手を進めていた。
何もする気が起きなくて母さんの夜食もカレーの残りにしてしまった。
「ごめん、今日はもう寝るわ。」
私は普段は開く教科書もさっさと棚にしまってベッドに横たわる。
実を言うと明日の式典は憂鬱だ。
午後がまるまる潰れてしまう。
本当はバイトに向かいたい。
初めて会長になったのを後悔したのはこの式典のことを聞いた時だった。
私は電気を消そうと体を起こすと砂時計のもう全て落ちてしまった砂が少しだけ光って見えた。
まあ、頑張ってみよう。
そう思って目を瞑る。
すぐに意識を手放した。
その日見た夢は凄く懐かしい夢だった。