砂時計が止まる日
「でも、いっつも白川君に助けてもらってばっかりだよ?」
「そんなことない。
新垣は気付いてないかもしれないけど僕も色々新垣からもらってる。
それに新垣はいつも誰かのために働いてるんだから僕くらい何かお返ししなきゃって思うんだ。」
さっきの沈黙とは打って変わって会話をしながら生徒会室前とカフェテリア横を4往復した。
仕事を終えた私は深くひとつため息をついた。
そんな私を白川君は横で笑っていた。
最後、運ぶ時に私はバッグとジャケットを持ってきていたのでそのまま荷物を持って2人でカフェテリアに入った。
「手伝ってくれてありがと。
本当は私が何かお礼に奢らなきゃいけないのに。」
さっき自販機で買った昼食がわりのバームクーヘンの口を開けた。
「そんなのいいって。
大したことじゃないし、新垣が無理する必要もないし。」
私のお財布には300円はなく、一番小さいサイズの紅茶とこのバームクーヘンを買うお金しかなかった。
それを分かっていたように彼は言う。
今日の帰りか明日にでもお給料を引き出さなきゃ本当に何も買えなくなった。
小銭が申し訳程度にしか入っていない、ほとんど空っぽの財布を私はバッグに入れた。
秋の香りがするこの季節は外にいても暑すぎも寒すぎもしないちょうどいい季節だと思う。