砂時計が止まる日


話しながらゆっくりバームクーヘンを口に運んでいた。

いつもなら10分あれば食べ切れるサイズのものなのに、話に集中していたのもあって30分もかかってしまった。



「そう言えば、今日は髪型違うね。」



私はふと思い出して言葉にした。



「あぁ、式典だからってオールバックにされてさ。

さすがにスーツは免れてきたけど。



前髪がないと落ち着かないな。」



「まあ、確かに白川君の前髪って結構長いもんね。



いつもより大人っぽくていいと思うよ。」



オールバックの白川君は大人っぽくてキリッとしてて凄くカッコいい。



でもいつもの伸びた前髪を邪魔そうにする姿も彼らしくて個人的には好きだったりする。



「でも新垣の今日の髪型見慣れないな。」



「さすがに普段通り巻いてくる度胸はないよ。

ホントは下ろしてるのも嫌いだもの。



メイクだってかなり抑えたんだから。ほとんどすっぴん状態。」


私は普段はどこかしらで結んでいたりハーフアップにしている髪を触る。



「まあ普段の新垣は凄いよ。



抜け目がない感じがする。

いつでもちゃんとしてるんだよ。



クラスの女子が体育の時とか“メイクが崩れてる〜”って騒いでるけど新垣はそんなことないもんな。」



私は彼の女子のモノマネを含んだ話し方が面白くて思わず声を上げて笑う。

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