砂時計が止まる日


「これでもちゃんと勉強してますから。

崩れにくいメイクの仕方とか、でもあまり大人ぶるとよくないからあくまで高校生のメイクをしてるの。



生徒会長は大変ですよ〜生徒から蔑まれてはならないし、頑張りすぎて近寄り難くなるのもアウト。

ベストポジションを目指してますから。」



途中から笑いながら話すと白川君も笑ってくれる。



温かかったはずの紅茶の缶がだんだん冷めてきているのに私は気付いていた。



冷めかけの紅茶もたまにはいいかもしれない。

何より秋晴れの空の下、白川君と一緒にお茶をしてることが嬉しかった。



ちょうど紅茶がなくなる頃、トラックが到着するのが見えた。



私は残っているほんの少しの紅茶を煽り飲み、テラスから降りた。



トラックが止まると運転席と助手席から1人ずつ降りてきた。



「坂本運輸の林と木村と申します。」



「白川学院高校生徒会長の新垣です。

本日はよろしくお願いします。」



私は2人に頭を下げた。



「こちらのダンボールを17時までにホテル明石、12階大宴会場横、小会議室までということでよろしいでしょうか?」



林さんが伝票を見ながら言った言葉に私は頷いた。



来賓を招いて行われるパーティー会場の横の小部屋で私は記念品の袋詰めをする。

その時は白川君もいない、つまりは孤独だ。

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