砂時計が止まる日
「まあ、なんで高校会長なんだよって思うのもわかる気がするよ。
でもこの学院は高校教育に力を入れてるからね。
だから高校生徒会長にこれだけのプレッシャーがのしかかってるんだよ。
まあそれも校長が新垣のことを認めてるからだから、自信もって。」
私は白川君の言葉に“そうだといいけどね”と返した。
私をそんなエリートに育て上げる必要はないと思う。
私はこの学校の中で成績がトップということはない。
それに、私を育て上げた意味はいつ消えるかわからない。
私はポケットからピンバッチを取り出して校章の隣に付けた。
やがてぞろぞろと後ろの席を人が埋めていく。
きっと学院の教諭だろう。
その人たちの動きがなくなった頃、後ろの扉から学院長が入ってきた。
先生たちは全員立ち上がり、学院長の方向を向く。
それを制して学院長が座るように促した。
学院長が階段を降りてきて私と白川君は立ち上がる。
「やあ。蓮、元気にしてたか?」
その言葉に白川君は頷きながら頭を下げた。
「新垣さん、さっきぶりだね。
改めて今日はよろしくね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
私が頭を下げると学院長が右手を差し出してきたので私は右手でそれに応えた。