砂時計が止まる日


2、3秒だけその手を握り、すっと離した。



私と白川君、学院長が席に座ると教頭が司会用のマイクに手をかける。



《まもなく来賓の方がいらっしゃいます。》



プツンっとマイクのスイッチが切られる音がした。



がちゃり、と教員が扉を開けるとぞろぞろと人が入ってくる。

その人たちを先導するのは高校の校長を始め、大学学長、幼稚園長の3人。



240人が席に着き、扉が閉められた。



《只今より、白川学院創立100周年式典を始めます。》



教頭の司会で式典が始まった。



式典は基本的に人の話が続く。

学院長や校長達が話すばかり。



途中、在学生代表ということで私が挨拶をするのだが、大人ばかりの前で話すのは初めてでどうも慣れない。



妙な緊張をする私を前に時間は容赦なくプログラムは進んでいく。


《在学生代表挨拶。

高校生徒会会長、新垣由羅から挨拶をさせていただきます。》



私はそのアナウンスを聞いて立ち上がる。

ふっ、と一つだけ息を吐いた。

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