砂時計が止まる日


壇上の演説台の前に立ち、右と左に1度ずつ、そして正面に深く頭を下げた。



「只今ご紹介いただきました高校生徒会長を務めさせていただいております、新垣由羅と申します。



この場所で白川学院が創立されてから1世紀が経ちました。


100年という月日は17歳の私には到底想像できません。



その100年はもちろん、白川学院だけでは成り立たなかったと思います。

PTAのや卒業生の皆さん、地域の方々のご協力があってこその100年です。」



私はゆっくりと話し始める。

言われていた目安の時間は3分半。



それに合うように少しゆっくりめに話していた。



「創立から今に至るまで、第二次世界大戦の戦火を逃れ高度経済成長期を生き延びてきたこの学院、その過ぎ行く時間の中で私が100周年という年に在学できていることは奇跡だと思います。



この記念の年を高校生徒会会長として迎えられることをとても嬉しく思います。



大好きな白川学院が今後もたくさんの方々に愛され、また100年、200年と長く続いていくことを願って私の挨拶とさせていただきます。」



私がそう言ってマイクを切った。

メモをしまってまた3度頭を下げる。

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