砂時計が止まる日
「完璧じゃん。」
私が席に戻ると隣に座っている白川君が小さく呟く。
「ありがと。」
私は白川君以外に聞こえない程度に答えた。
肩の荷が降りた私にはこれまでが嘘のように時間が過ぎるのが早く感じられた。
《これをもちまして、白川学院創立100周年記念式典を終わります。
来賓の方が退場されます。》
私は一つだけ息を吐いた。
この後、来賓はホテル明石に向かうのだろう。
講堂の時計は17時を指していた。
ホテルまでは車で15分ほど。
このパーティーには先生たちは参加しない。
それは中央委員会で決まったこと。
元の予定では高校の教諭が記念品を渡す予定だった。
『俺らもそんな暇ねぇんだけどな。』
そんな愚痴が聞こえたんだ。
『わかりました。
先生方がお忙しいということであれば代わりにやります。』
私はそう言いきった。
『由羅、いくらなんでもムリがあるって。
パーティーの終わる時間だって遅いし、私ら役員の中にも門限がある人もいるでしょう?』
『何言ってるの一夏、私ひとりでやるから問題ないの。』