砂時計が止まる日
ふと顔を上げると来賓の最後の列が見えなくなる所だった。
240人の来賓用に6台のリムジンバスが用意される。
私はその中の1台に乗せてもらう予定。
「ああ、蓮。」
白川君が話しかけられ、私も顔を上げるとそこには大学学長がいた。
「新垣、これがうちの父親。」
「高校生徒会長の新垣由羅と申します。」
私はそう言って頭を下げた。
「知っているよ、さっきの挨拶よかったよ。」
「ありがとうございます。」
私はまた頭を下げる。
「それで用件は?」
「そう、今日の車は父さんの秘書の人が駐車場に用意してくれてるから。
準備したら向かっても大丈夫だ。」
白川君がその言葉に頷き、立ち上がる。
「そういや、新垣ってどうやって行くの?」
「一番空いてるバスに乗せてもらう。
まあ私は急いでないしどこでもいいんだけどね。」
40分でパーティーのための格好、と言ってもドレスとかではないがワンピースを色の明るいものに着替えたりお化粧を直さなきゃいけない女性陣に比べたらゆっくりだ。
届いているであろう記念品を袋に入れて渡す準備をするだけ。
孤独と戦う3時間を過ごすんだ。