砂時計が止まる日


「今日は私に新垣さんを可愛くさせてちょうだい。」



彼女の柔らかくどこか切ない目を見て、誰がNoと言うだろうか。



私は彼女の目を見て小さく頷いた。



彼女はにこにこしながら私の髪にくしを通していく。

どんどん艶が出ていく髪を鏡越しに見ていた。



「お上手なんですね。」



「昔、こういうのが大好きで予備校みたいな所に通ってたのよ。」



くるくると彼女の手元のコテで巻かれていく私の髪。

到底私には無理だろうと感じる。



巻かれた私の髪はアップになっていった。



「やっぱり女の子っていいわね、可愛くていいわ。」



私の髪をまとめきった園長先生は鏡越しに私を見る。



「ちょっと、メイクもしちゃっていいかしら?」



私は今日、自分がクリームしか塗っていないことを思い出し、頷く。

< 78 / 200 >

この作品をシェア

pagetop