砂時計が止まる日
「今日は私に新垣さんを可愛くさせてちょうだい。」
彼女の柔らかくどこか切ない目を見て、誰がNoと言うだろうか。
私は彼女の目を見て小さく頷いた。
彼女はにこにこしながら私の髪にくしを通していく。
どんどん艶が出ていく髪を鏡越しに見ていた。
「お上手なんですね。」
「昔、こういうのが大好きで予備校みたいな所に通ってたのよ。」
くるくると彼女の手元のコテで巻かれていく私の髪。
到底私には無理だろうと感じる。
巻かれた私の髪はアップになっていった。
「やっぱり女の子っていいわね、可愛くていいわ。」
私の髪をまとめきった園長先生は鏡越しに私を見る。
「ちょっと、メイクもしちゃっていいかしら?」
私は今日、自分がクリームしか塗っていないことを思い出し、頷く。