砂時計が止まる日
彼女はさっとメイク用品を並べ、私に施していく。
「綺麗...」
しばらくすると鏡の中には私の知らない私がいた。
いつもより華やかで明るい色でメイクされた私。
「女の子ってメイクで可愛くなれるからいいわよね。
新垣さんってMake Youっていう雑誌知ってる?」
「はい!」
私は馴染み深い名前に思わず声を上げた。
「最近デビューした小町っていうモデルさんがいるんだけど。
7月に雑誌の特集企画でMake Youが作ったドレスの小町ちゃんモデルの試作品をね、ちょっとした繋がりでもらったの。
持ってるだけで観賞用だったんだけど、持ってきてもらってね。」
彼女が話すのはMake Youでのモデル4人の特集が組まれた時の話。
あの特集で小町の人気が上がったとも言える。
「これなんだけど。」
クローゼットから出てきたのは背中が大きく開いているスカートのフィッシュテールがポイントのピンクのミニドレス。
このドレスを着た小町の写真はSNSでも投稿され、大きな反響があった。
私もその画像はスマホのロック画面の壁紙にしている。
「きっと新垣さんに似合うかなって思って、持ってきてもらってよかったわ。」
彼女は私とドレスを更衣室に押し込んだ。
私は躊躇いながらもそのドレスに腕を通す。