砂時計が止まる日
「まあ、蓮君久しぶりじゃない!」
私が彼に引っ付いて歩いていると度々声をかけられる。
「そちらは、生徒会長さんだったわよね。
もしかして、2人はお付き合いしてるの?」
お茶目なおば様がそんな風に言う。
私は思わず口を開けてしまった。
「まさか、そんな。」
白川君の否定する言葉に私は大きく頷いた。
「でも、美男美女でお似合いよ〜」
「まあ新垣の気持ち次第ですよ。」
私は白川君の言葉に今度は目を見開いた。
おば様と談笑している彼の隣で、私は頬が火照るのを感じていた。
“新垣の気持ち次第”っていうのは、私の気持ち次第ってことは白川君は私と付き合っても構わない、ということ?
ねえ、そんなこと言うと私は勘違いするよ。
気付くには充分すぎるこの胸の高鳴りを隠すように私はまたシャンパングラスに口をつける。
パーティーの終了直前に私は会議室から紙袋を乗せた移動式のテーブルを運んだ。
私は一夏との約束を守ったつもりだし、中央委員会で言った通りのことを成し遂げたはずだ。
自分で言い出したことは始末をつけた上で園長先生の計らいで私はパーティーに出ることも許された。
ずっと憂鬱だった式典も終わって思い返せばそんな嫌なものでもなかったのかもしれない。
そう思えたのも全て、彼のおかげなんだろう。