砂時計が止まる日


お母さんはそう言って私より先にレジの前を去っていく。



「お母さん、せめて1000円だけでも出させてよ。」



私がお札を差し出すとお母さんは笑って受け取った。



「由羅は本当にいい子に育ったね。

由羅になら2人のこと任せられるわ。



由羅がいなくなったら2人はどうしましょ。」



お母さんが何気なく発した言葉に私は胸を抉られる感覚を覚えた。



「ねえ、お母さんそれどういう...」



「あ!もちろん由羅が自立したらって話よ!



ごめんね悪気があるわけじゃないから!」



お母さんは少し焦ったように言う。



「あはは、わかってるよ。」



私はちょっと力なく笑ってみせた。

< 86 / 200 >

この作品をシェア

pagetop