砂時計が止まる日


僕は職員室に寄ってから教室に行った。



自分の机の上には小さな紙袋が置いてあった。

可愛らしい柄のそれは僕自身に見覚えがなく、不思議に思って袋を開けた。



その中には袋詰めされたクッキーと半分に折られた便箋が入っていた。




土曜日はお世話になりました。

白川君がいてくれて良かったです。



パーティーも私の傍にいてくれてありがとう。



また頼っちゃうかもしれないけど、その前に白川君に頼って貰えるような会長になります。



お礼になるかどうか分からないけど、昨日カフェで私が焼いたクッキーです。

いつかはお店のクッキーを焼けるようになりたいな。



まだ不慣れなので真奈さんのにはかなわないけど気が向いたら食べてね。



またカフェでお待ちしてます 新垣由羅




前に新垣の働くカフェに行った時にお店特製のクッキーを食べた。



僕がおいしい、と言ったのを覚えていてくれたのだろうか。

もしかしたら自意識過剰かもしれない。



カフェで食べたもよと同じ香りがするそのクッキーはどこか形が不揃いで欠けているところもある。



それでも新垣が作ったというだけでどうしてかクッキーとして以外の価値を感じた。



僕はクッキーが割れないようにそっと鞄にしまった。

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