砂時計が止まる日
教室の中央の1番後ろの席。
多少黒板の文字が見にくいけれど、結構気に入っている席。
時々隠れて生徒会の書類を書いてたりもする。
何かと便利な席だ。
私は窓の外、青空の中で強く輝く太陽に目を細めながら遠くでチャイムの音を聞いた。
「平氏の築いた貿易港だが、なんと言ったかな?
んじゃ、福井。答えてみろ。」
私はノートを見ていた顔を上げた。
「えっ。」
「...大輪田泊。」
戸惑う隣の席の福井君に私はそっと伝える。
「あっ、大輪田泊です。」
「はい、正解。」
私の言葉を聞いて答えた福井君はほお、と息をついていた。
「会長、ありがとう。
助かった、アイツ間違えるとずっと当ててくるしやだったんだよね。」
「うんん、大したことないよ。
困った時はお互い様。」
私はそう言って笑った。
どこかざわめいて感じる教室に私の小さな笑い声は溶けていく。
よかった、まだ私を必要としてくれている人がいる。
それだけでいい。
それで、もう充分なんだ。