砂時計が止まる日


放課後、新垣の働くカフェに向かった。



「いらっしゃい。

あぁ、白川君。いつもの席空いてるよ。」



ここには既に何度か通っていて新垣の友達、ということもあってマスターに顔と名前を覚えてもらえるまでになった。



「ゆーちゃん!白川君来たよ。」



マスターが厨房に向かって新垣に声をかける様子を見ながらいつもここに来ると座る席に腰をかける。



「白川君、いらっしゃい。」



彼女はエプロンの横に引っ掛けたタオルで手を拭きながら厨房から出てきた。



「何か作業してた?」



「うん、真奈さんのパン作り手伝ってた。」



彼女はシンクのカップを拭きながら言う。



「到着するの早くない?

僕も結構早く来たつもりなんだけど。」



「ふふ、うちのクラスの終礼の早さなめないでよ。
それに私の脳内にはばっちり時刻表とか信号の周期が入ってるから。

私より早く来るのは至難の技だよ?」



彼女はそう笑う。



「はい、エスプレッソ。

ゆーちゃん、他にお客さん来るまで話してていいよ。」



マスターがそう言うと新垣はお礼を言って僕と向かい合うように座った。


「もうすぐ試験だね。」



僕がそう言うと目の前の彼女はがっくりと項垂れた。

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