砂時計が止まる日
「新垣って特待生でしょう?
やっぱり大変なんじゃない?」
「特待生って言ってもここの学校は筆記試験だけじゃないじゃん?
だから私は会長もやってるし名前ほどプレッシャーはないよ。
でも頑張って合計でいつも10位以内にはいるようにしてる。」
そうだ、やはり特待生として学費の免除を受けている分、それなりの位置にいなくてはならない。
新垣はその圧とも戦っている。
「今日、人少ないね。」
しばらくの時間新垣と話していて、僕はふと顔を上げた。
時計を見ればここに来てから30分程経ったが僕のあとの来店はなく、静かな空間で僕と新垣の話し声だけが響く。
「時々あるんだよ、2ヶ月に1回とかこれぐらい人が来ない日が。
あ、白川君はどれぐらいまでいる?」
「あー、ここで勉強して行こうかな。
ついでに晩御飯もいただいて行くよ。」
僕がそう言うと彼女の目は嬉しそうに光った。
「じゃあ、まだ一緒にいられるね。」
笑顔で言った彼女の言葉に僕は思わず怯んだ。
そんなセリフを素で言えるのはそう多くない。