砂時計が止まる日
「あ、そういや数学どこまでやった?」
新垣は僕の教科書を見る。
「ここまで。」
「あ、じゃあこの問題教えてくれない?
どうにもこうにも出来なくて。
理系の白川君に頼らせて下さい。」
そう彼女は手を合わせる。
僕は教科書の問題の解説を指さしながら説明していく。
「あ、だからこれがここに代入されるのか。」
「そう、だからx=3になる。
だから整式kも出せる。」
やっぱり地頭がいいようで少し説明するだけで新垣は理解した。
「うん、これで大丈夫そう。」
彼女は嬉しそうに笑った。
それからは二人で様々な教科の勉強をしていた。
時計の長針があれから一周半してまもなく7時、という時、ようやくカフェにいつもの賑わいが戻ってきた。
新垣は仕事に戻り、僕もスパゲティを頼んだ。
ほかほかと湯気の上がるナポリタンを新垣が持ってきた。
「マスターのナポリタンは本当に美味しいから味わってね。」
そう言って彼女はオーダーを求める客の元に歩いていった。