砂時計が止まる日
その日は結局、閉店までいて片付けをする新垣を待っていた。
「ごめんね、送ってもらっちゃって。」
「いいの、新垣は女の子なんだから、送られて当然。
僕のワガママだし、結局は同じ方面なんだから。」
新垣の家の最寄り駅から彼女の家への道。
普段、同級生と夜道を歩くなんてことをすることはない。
ましてや、女子とこんな時間に一緒にいるなんてこと、生まれてこの方ありやしない。
もう22時をとうに回っている。
この季節でも、夏でもこの時間になれば真っ暗。
街灯に、気持ちばかりの星と月のあかりだけ。
「白川君、いつも本当にありがとうね。」
彼女がふいについた言葉はもう何度も聞いた言葉。
「もう、十分だよ。」
僕はそう笑った。
「ねえ、白川君。」