最初で最後の恋


雨の日の昼休み。


私はお弁当を片付けて、
恵美と希と一緒に、廊下にいた。

「ちょっと、聞きたい事あるんだけど」

そう言ったのは、
先輩の女の子達。
5人くらいで、私達を囲んできた。

恵美と希は、挑発的で、

「なんですか?」

と二人声を揃えて問いかけた。

「あんたらには、用はない。
後ろに立ってる。
相原夏。」

自分の名前を呼ばれ、肩がビクッ。と
上がるのがわかった。

『なんですか?』

「ちょっと、いいから。
この子借りるからね。」

恵美と希なら、断ってくれる。
そう思っていたのに、
期待はあっけなく壊された。

「はい。
いいですよ。
それじゃあ、夏。頑張って」

『えぇぇ!?』

驚いているうちに、
先輩にどんどん引きずられて行く。

『ちょっと・・・』

小さく呟きながら
恵美と希を睨む。

私の視線に気付いた恵美と希は、
大きな声でこう言った。

「夏に何かしたら、
先輩でも許しませんよ」

その声を聞いた先輩は、
舌打ちをして恵美と希を睨んでいた。

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