最初で最後の恋
グラウンドを見ながら、呟いた。
「腹立つ・・・。
絶対手に入れてやる。」
そう言って、屋上を後にした。
教室に戻ると、
女達がやってきた。
「雄大っ。
何処行ってたの?
私達、待ってたのに。」
上目で俺に言ってくる。
俺は別に、女が好きって訳ではない。
ただ、"特別"と言う言葉が嫌いなだけ。
『ごめんな?
ちょっと屋上に行ってたんだ。』
「そうなんだぁ・・・。
今度行く時は、私も連れてって?」
女の中の一人が自分の腕を
俺の腕に絡ませながら言った。
「ちょっと、あんただけずるいわよっ!
私だって、雄大と居たいのよ。」
言い合いが始まる。
(はぁ・・・)
小さくため息を溢して、女達を見る。
やっぱり相原のような女は見当たらない。
どいつもこいつも、
化粧の濃い奴ばかりだ。
この女たちは、
愛すことを忘れている。
心だけ満たされれば
それでいいだけ。
『俺は愛される権利ないけどね』
「ん?
雄大、何か言ったぁ?」
首を傾げて女が聞いてくる。
『あぁ、何もない。』
そのまま、教室を出た。
教室を出て、行くのは
一年の所。
相原の所。
B組の前で立ち止まる。
「先輩っ。
どうかしたんですか?」
一年生の子が話しかけてきた。
『あぁ。
相原・・・さん、いるかな?』
そう言った瞬間に、
女の子の顔が曇った。
「夏・・・ですか?
少し待ってて下さい」