毎日、失恋。
「失礼します…」

生物準備室の扉を開け中に入ると、

「ごめん、呼び出したりなんかして。まぁ、座って。あっ、なんか飲む?珈琲でも入れようか?」

教室とは全く違うフランクな態度がさらに私を憂鬱にする。

「先生、話ってなんですか?」

リラックスモード全開の顔でいそいそと動く先生に声を掛けると漸くこちらを見た。

やっぱり目を合わせたくなくて途端に顔を伏せると途方に暮れた声で先生が言う。

「だよなぁ…そうなるよね。ごめん。ずっと隠してて…僕と高橋さんのお姉さんとのこと。ちゃんと話すから座って。」

「別に…」

「えっ?」

「別に説明とか良いです。姉の彼氏が担任だった。それだけの事であって、昨日は突然だったので驚いただけです。だって家にいきなり姉の彼氏として担任がやってきたら誰でも驚くじゃないですか?しかもいずれ結婚するとか…」

目を合わせないまま一気に言った。傷ついた顔をしていないだろうか?上手く言えただろうか?先生に悟られるわけにはいかない。絶対に。

    
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