毎日、失恋。
「こら、人の話は目を見て聞く。」

そう言いながらずっと膝の上でギュッと握りしめたままの私の手を取る八神くん。

て、手汗が…気になる。

そんな事はお構いなしに恋人繋ぎした手を満足げに見て八神くんが言う。

「本当はもっと、もっと早くにこの手をこうして取ってやりたかった。ごめんな…守ってやれなくて。」

「ん?…守るって?」

「佐奈…、嫌がらせされてただろ?いつかの時も制服濡れてた…」

辛そうに顔を歪ませるその姿だけで八神くんの思いが伝わってくる。

「ごめん…心配掛けて。でもそんな風に思ってくれてたんだって今聞いて、嬉しいよ。」

「ずっと葛藤してた。佐奈に手を出すなってみんなに言ってしまおうかとも思った。けれど、そんな事言えばなおさら佐奈が反感買うんじゃないかって思うと言えなかった。それに佐奈に拒絶された時、岡ちんの事がまだ好きなんだって思ったから僕の気持ち押し付けても迷惑かなって。」

「そんな風に思ってくれてたんだ。」

知らなかったな…

八神くんが私の事をそんな風に思ってくれてたなんて…

結局、お互い相手を思うあまりに…

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