毎日、失恋。
「そりゃ、佐奈を落とすチャンス。僕はずっと佐奈を見てた。岡ちんの事が好きな佐奈も岡ちんとお姉さんが付き合ってるって知ってからの佐奈もそして今も…佐奈を見てる。」

そんな事を言いながら繋いだ私の手を口元に引き寄せ甲に唇を寄せる八神くん。

その姿がやけにセクシーに思えてもういっぱいいっぱいなんだけど。

「私だって…、初めは随分、意地悪で強引な人だなって思った。」

「確かに。いきなり激安スーパー連れてくとか、ハードだよね。」

「うん、ビックリしたけど、でもそれまで知らなかった八神くんのことを知れて嬉しかった。家族思いの八神くんにも驚いたし黒歴史も…」

「ああ…あれね。」

「だけどね、八神くんといるうちに、八神くんの事をもっと知りたいって思った。見ているだけで良かった先生の時とは違うくて…」

「違うくて…?」

「もっと…、もっと私の事も知ってほしいって思った。それで…」

「それで?」

八神くんの目が優しく弧を描いて私の言葉の続きを待つ。

「それで…もっと、近付きたいって、うわっ、」

繋がれていた手をグッと引かれるとそのまま抱きしめられた。

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