毎日、失恋。
「八神くん…」

「なに?」

「私ね、先生とお姉ちゃんの事があった時、本当に辛くて自分だけが取り残された気持ちだったの。」

「そっか。」

耳の近くで響く八神くんの声が優しくて心地いい。

「学校に行っても家に帰っても私、失恋したんだなって思うと苦しくて仕方なかった。」

「うん、知ってる。」

ほんの少し私を抱きしめる腕を緩めると私の顔を覗き込んでくる。

けれど恥ずかしくて直ぐにまた八神くんの肩に顔を埋めた。

「わかった。顔は見ない方がいいって事ね?続けて。」

「うん。ありがと。それでね、本当に毎日、毎日、失恋、失恋って思い知らされてる気がして…」

「それで、グレてやるって?」

声だけだけど八神くんが嬉しそうに言う。

あの時、放課後の教室で叫んだ時、八神くんがいなければ…

今頃、私達はどうなってたのかな?

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