毎日、失恋。
名前は知っていた。

常に学年トップの座についているから。

高橋佐奈《たかはしさな》

僕の前には必ず彼女の名前があった。

三年になり同じクラスになって初めて彼女を見た。

可もなく不可もなくただ、彼女は教室の中で空気になりすましていた。

周りに対しても興味を示さず女子特有の群れる事もしない。

休み時間すらも一人本を読んでいたりしている姿がほとんどだった。

そんな彼女に何故か僕は興味を持った。

きっと目が似ていたのかもしれない。

彼女が纏う空気が似ていたのかもしれない。

あの頃の僕に。

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