死の惑星
しかし、エリオットもビアンカと同じ気持ちだ。アデルバードが用意した教材には、科学が何よりも素晴らしいということしか書かれていない。この星の人間はみんな、洗脳されているのだ。

「地球だって、完璧な星ってわけじゃないさ。肌の色や障害の有無での差別、海のゴミ、紛争や難民、動物の違法取引…。挙げだしたらキリがない」

でも、とフランクリンは続ける。

「地球の人は、どの国に住んでいる人でも地球のことを考えて行動する人がいる。アデルバードの人々はそこを見習うべきなのさ」

「最後まで諦めずに取り組むべきですよね」

セドリックも頷いた。エリオットも口を開く。

「大切なのは、発展よりもこの星を思う気持ち…。愛ですよね」

「いいこと言うね〜!!」

レイチェルがエリオットの頭を撫でる。柔らかで温かい手が触れる。エリオットは目を細めた。

「君たちは偉いよ!大人が洗脳されているのに、こうやって行動してるんだから…」

レイチェルが、エリオットやセドリック、そしてビアンカを見つめる。その目には涙が溜まっていた。
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