ねぇ、こっちを向いて



「わ、私は……」


「なーんてな!本気で答えようとしたの?ばかだね。俺が本気で答えさせようなんてするわけないだろ」


ははっとばかにしたように笑った。


「っ最低!」


恥ずかしいのと、悔しいのが入れ混じって思ってもない、いや、少しだけ思った言葉を大声で叫んでしまう。


「……東屋?」


「最低最低最低。この女たらし、嫌い。あんたなんか…あんたなんか大っ嫌い!」


言ってしまえば最後。


もう後戻りなんてできない。


でも、分かってた。


あんな言葉も、一番嫌いな人種ってことも。


全部、全部。




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