耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

商店街に向けて歩く。牛乳は商店街の入り口近くにあるスーパーで売っているからラプワールからだと商店街の端から端まで歩くことになる。そんなに遠い道のりではないが、マスターが待っているだろうと思うと自然と早歩きになる。

「今日は暑いなぁ。」

商店街にはアーケードがあるから、照りつける陽射しがないだけでいくらかマシだ。けれど風が通りにくい商店街では、湿気たっぷりの蒸し暑さが何割か増しに感じる。

商店街の中ほどまで来た時、声を掛けられた。

「おや、美寧ちゃん。お使いかい?」

店先から声を掛けて来たのは、八百屋の店主だ。

「やおまるさん、こんにちは。そうなんです、スーパーまで牛乳を買いに行くところなんです。」

「おお、そうかい。あっ、そうだ。マスターに今日は安くて良いナスとトマトが入ってるって伝えておいてくれるかい?」

「わかりました。」

「マスターによろしくな。暑いから気を付けて行ってくるんだよ。」

「はーい。ありがとうございます。」

やおまるのおじさんに手を振ってからまた歩き出した。

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