耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

商店街を通る間、その他にも精肉店の前でも声を掛けられ、途中で【ベーカリー小川】の奥さんにも出会い、それぞれの人と挨拶を交わしながら数分後に【スーパー徳安】に着く。目的の牛乳を二本手に取りレジに持って行くと、顔見知りになった店員の人と会話をしながら会計をし、買った牛乳買い物袋にしまって、急ぎ足で店を後にした。

(いろんな人と挨拶してたら、ちょっと遅くなっちゃった。急いで戻らないとマスター、待ってるよね……)

ここで暮らし始めてまだ二か月も経たないというのに、美寧はすっかり商店街の人々と馴染んでいる。それもこれもラプワールでアルバイトを始めたおかげだ。

休みの日に美寧が個人的な買い物をしにも来るが、やっぱり一番回数が多いのはラプワールのお使いだ。毎回同じ黒いワンピースで買い物に来るおかげで、美寧のことを覚えてくれたお店の人も多いだろう。

(ラプワールで働けて本当に良かったなぁ。)

雇ってくれたのがラプワールのマスターで無ければ、美寧はすぐにクビになっていただろう。

(あの日もこんな暑い日だったよね。)

肌にまとわりつくような重く熱い空気が、美寧にその日のことを思い出させた。



< 109 / 353 >

この作品をシェア

pagetop