耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

「今日これから娘のところに一緒に行くことになってるんだ。奥さんのいなり寿司は娘の好物の一つだからな。」

「そうなんですか?」

怜がマスターに聞いた。美寧はマスターの今日の予定を聞いていたので、大人しく横で黙っている。

「ああ。なんだか少し風邪気味らしくてな。こんな時に限って旦那は出張中で留守にしているらしいから、ちょっと様子を見に行こうと。」

「それは心配ですね。ご結婚されるような大きなお子さんがいらっしゃるとは思いませんでした。お嬢さんはお若くてご結婚されたんですね。」

「ああ……若く、と言っても娘も二十五歳だから結婚に早すぎるという歳ではないがな。」

「えっ!二十五歳!?」

「ああ。」

珍しく驚きを表面に出した怜に、マスターは何事もないように頷いた。

「そんなに大きなお子さんがいらっしゃるようには……」

「そうか?おれはもうすぐ四十になるぞ?」

「「四十!?」」

今度は怜と美寧の声が重なった。

美寧もマスターは怜よりいくつか上なだけだと思っていた。怜も実年齢よりも若く二十七、八くらいに見られることが多いが、マスターは三十二、三くらいだろうと思っていた。

それは怜も同じだったようで、「……俺の少し上かと思っていました。」と心底驚いた声で怜が呟いていた。
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