耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「……それでもお嬢さんが二十五歳ということは……」
単純計算でマスターが十五歳の時の子どもということになる。
「ああ、言ってなかったか?娘は奥さんの連れ子なんだよ。」
「そうだったのですか…」
「ああ、娘が九歳の時に彼女と結婚したからな。」
「そうだったんですね……」
マスターの言葉に返事を返す怜の横で、美寧は目を丸くしてただ驚いていた。
マスターや奥さんから、よく離れて暮らしている娘さんの話は聞いていた。いつも娘さんの話をするマスターの瞳はいつも蕩けるように甘くて、去年その娘さんがお嫁に行ってしまったことを話す時のマスターは嬉しそうだがどこか寂しそうだった。
マスターが心から娘さんのことを愛していると知っていただけに、美寧はこの真実に言葉が出ないほどショックを受けていた。
(血の繋がりが無くても、こんなふうに本当の家族になれるのね……)
それはとても素敵ですばらしいことなのに、美寧の心は軋むように痛んだ。
(血が繋がっていても愛し合う家族にはなれないこともあるけれど……)
心が深い沼に沈んでいきそうになった、その時。
「ミネ?…どうかしましたか?」
「え……」
「ぼうっとしていましたが、具合でも悪くなりましたか?」
「え…と、そんなことない。大丈夫だよ?」
「本当だ。少し顔色も良くないぞ。」
マスターまで心配そうに見てくる。
過保護な男性二人に挟まれた美寧は、なんと答えて良いのか言葉を詰まらせた。