耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「今日はもう上がっていいぞ。他に客もいないし店はこのまま閉めることにするから。」
時計を見ると美寧が仕事を上がる予定の三十分前になっていた。
「このままそいつと一緒に帰る方がいい。その方が俺も行き倒れの心配しないでいいしな。」
「行き倒れ?」
「マ、マスター!」
しまった!と美寧は慌てた。怜には二度目の行き倒れ未遂事件は内緒にしていたからだ。話してしまえばまた心配をかけてしまうと思ったからだ。
慌てる美寧の方をチラリと見た怜は、残りのコーヒーを飲み干してカップをソーサーに戻した。
「今日はお言葉に甘えましょう、ミネ。」
「う、うん……」
「帰り道にさっきの話を聞かせてくださいね。」
「うっ………」
怜は誤魔化されてはくれないようだ。
「さっ、ここは良いから荷物を取ってこい。」
「はい。ありがとうございます、マスター。」
美寧はそそくさと荷物を取りに事務所に向かった。