耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
気付いた時には美寧は両手で、怜の体を押し返していた。
その腕にはほとんど力が入っていなかったが、美寧のかすかな抵抗に気付かない怜ではない。
「……ミネ?」
美寧から離れた怜が窺うように覗きこんでくる。いつの間に外されたのか、そこに眼鏡は無い。
視線を斜めに逸らしたまま黙っている美寧に、怜はもう一度声をかける。
「―――嫌でしたか?」
ハッとなった美寧は、慌てて頭を左右に振った。
けれど反射的に応えたものの、「じゃあなぜ」と問われても答えようがない。美寧本人にも怜を拒んだ理由が分からないのだから。
荒い息で上下する胸を抑えながら、美寧は視線を彷徨わせる。
なんて言おうと逡巡していると、ふと体が軽くなる。覆い被さっていた怜が退いていた。