耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
ソファーに取り残された美寧は、怜が消えたキッチンをぼんやりと眺めていた。
(なんであの時ユズキ先生の言葉を思い出したんだろう……)
自分でもどうしてだか分からないけれど、あの声が耳の奥で聞こえた瞬間、反射的に怜を押し返していた。
そっと唇に指を当てる。
さっきまで重ね合わせていたそれは、少し腫れぼったくて熱を持ったままだ。
(れいちゃんとのキスが嫌だったんじゃないのに…………)
この家に来てから、美寧は幾つもの“はじめて”を体験している。
その中でもこの十日間で怜から貰った“はじめて”のことで、びっくりしたり恥ずかしかったりはするけれど、嫌だったことなど一つもない。
ふぅ、と短く息をついた時、怜がキッチンからトレーを片手に戻ってきた。
「ミネ、これをどうぞ。」
ソファーテーブルにトレーを置く。そこにはガラスの器とティスプーンが乗っていた。
「ヨーグルトシャーベットです。」
「ヨーグルトシャーベット……」
「これで痛みがマシになると良いのですが……」
「…………」